～目先の「0円」か、将来の「1,000万円」か。ビジネスの命運を分ける選択の基準～
「最近は無料で作れるツールも多いし、とりあえず自分で作ってみようかな」
「でも、素人が作ったサイトで信頼されるだろうか？ やっぱりプロに頼むべきか…」
「創業初期で予算がない。安く済ませたいが、失敗もしたくない」
Webサイト（ホームページ）を持とうと考えた時、多くの経営者様が最初にぶつかる壁。
それが、「自分で作る（DIY）」か「制作会社に頼む（アウトソーシング）」かという選択です。
今や、WixやJimdo、Studioといった便利なノーコードツールが登場し、専門知識がなくてもパズルのようにWebサイトが作れる時代になりました。
「お金をかけずに自分で作れるなら、それが一番良いのでは？」
そう考えるのは、経営者として当然のコスト感覚です。
しかし、Web集客の最前線で戦うプロとして、一つだけ警告させてください。
「自分で作る」という選択は、実は「最も高いコスト」を支払うリスクを孕んでいます。
それは、制作費という目に見えるお金の話ではありません。
「社長の貴重な時間」と、「本来得られるはずだった売上（機会損失）」という、目に見えないコストの話です。
もちろん、自作が正解のケースもあります。プロに頼むのが常に正解とも限りません。
重要なのは、「現在の御社のフェーズ（段階）」と「Webサイトの目的」に合致しているかどうかです。
この記事では、長年にわたり数々の企業のWeb戦略を支援してきた私が、自作とプロ依頼のメリット・デメリットを、経営視点で徹底比較します。
表面的な「制作費」だけでなく、「運用後の成果」まで見据えた判断基準をお伝えします。
この選択を間違えて、半年後に「作り直したい…」と後悔しないために。
ぜひ、ご自身のビジネス状況と照らし合わせながら読み進めてください。
1. そもそも「Webサイトを作る目的」は何ですか？
比較に入る前に、前提条件を整理しましょう。
ここがブレていると、どんな選択をしても失敗します。
Webサイトを持つ目的は、大きく分けて2つあります。
目的A：名刺代わりの「看板」
- 銀行融資や取引口座開設のために「サイトがある事実」が必要。
- 集客はリアル（紹介やチラシ）がメインで、Web集客は期待していない。
- 既存のお客様が、住所や電話番号を確認できればいい。
目的B：売上を作る「集客装置」
- 検索エンジン（Google）から新規顧客を集めたい。
- 自社の強みを伝え、ブランディング（信頼獲得）をしたい。
- 24時間働く営業マンとして、問い合わせや注文を自動化したい。
目的Aなら「自作」でも十分です。しかし、目的Bなら「プロ依頼」が圧倒的に有利です。
この前提を踏まえた上で、それぞれの詳細を見ていきましょう。
2. 【自作（DIY）】のメリット・デメリット徹底解剖
まずは、WixやStudio、WordPressなどを使って、ご自身（または社内スタッフ）で作る場合です。
メリット①：圧倒的な「安さ」
最大の魅力はこれに尽きます。
サーバー代やドメイン代、ツールの月額利用料（数千円程度）だけで済みます。制作費としてのキャッシュアウトはほぼゼロです。創業初期で資金繰りが厳しい時期には、非常にありがたい選択肢です。
メリット②：スピード感と修正の自由さ
「明日までにキャンペーンページを作りたい！」と思った時、自分で操作できれば即日公開できます。
「ここの文章を直したい」と思った時も、制作会社に見積もりを取る必要はありません。この「小回りの良さ」は、自作ならではの強みです。
デメリット①：社長の時給を計算していますか？
これが最大の落とし穴です。
慣れないツールと格闘し、文章を考え、写真を選び、レイアウトを調整する…。
納得いくサイトを作るには、最低でも50時間～100時間はかかります。
もし社長の時給が5,000円だとしたら、100時間で「50万円」の人件費を使っていることになります。
その50時間で営業に行けば、いくら稼げたでしょうか？
「無料で作った」つもりでも、実は「社長が本業をする時間」という莫大なコストを支払っているのです。
デメリット②：「素人感」が拭えない
最近のツールはテンプレートが優秀ですが、素人が作るとどうしても「何かが違う」仕上がりになります。
- 余白のバランスが悪い。
- フォント（文字）が見づらい。
- 色使いがチグハグ。お客様は残酷です。パッと見て「あ、ここはお金がない会社だな」「手作りのサイトだな」と分かると、ビジネスの信頼度はガクンと下がります。
デメリット③：SEO（集客）に弱い
見た目は作れても、「Googleに好かれる内部構造」まで作れる素人はいません。
「社名で検索すれば出るけど、地域名やサービス名では全くヒットしない」
これでは、新しいお客様に出会うことはできません。
3. 【プロ依頼】のメリット・デメリット徹底解剖
次に、制作会社やフリーランスのプロに依頼する場合です。
メリット①：成果に直結する「戦略」が手に入る
プロの仕事は、デザインを作ることだけではありません。
「御社の強みは何か？」「競合他社はどこか？」「誰に何を伝えれば売れるか？」
こうしたマーケティング戦略の設計こそが、プロに頼む最大の価値です。
綺麗なサイトではなく、「売れるサイト」が手に入ります。
メリット②：圧倒的な「信頼感」と「ブランド力」
プロが作ったサイトは、細部のクオリティが違います。
スマホでの見やすさ、写真の選び方、クリックしたくなるボタンの配置。
これらが整っていると、初めて訪れたお客様に「しっかりした会社だ」「ここなら任せても安心だ」という第一印象を植え付けることができます。
メリット③：本業に集中できる
面倒な作業はすべて丸投げできます。
社長は「どんな会社にしたいか」を語るだけでOK。
制作期間中、社長は営業や商品開発といった「経営者しかできない仕事」に全力を注げます。
デメリット①：費用がかかる
当然ですが、数十万円～数百万円の費用がかかります。
これを「高い」と見るか、「投資」と見るかが経営判断の分かれ目です。
デメリット②：制作会社選びが難しい
「プロ」と言ってもピンキリです。
中には「高いだけで集客できないサイト」を作る会社も存在します。パートナー選びを間違えると、費用対効果が悪化するリスクがあります。
4. 経営判断の分かれ道。あなたはどっちを選ぶべき？
ここまでの比較を表にまとめ、具体的な判断基準を提示します。
| 比較項目 | 自作（DIY） | プロ依頼 |
| 初期費用 | ◎ 安い（数千円～） | △ 高い（数十万～） |
| 時間コスト | × 社長が激務になる | ◎ 丸投げできる |
| デザイン性 | △ テンプレート感 | ◎ オリジナル・高品質 |
| 集客力(SEO) | × 弱い | ◎ 強い（会社による） |
| 拡張性 | △ ツールの制限あり | ◎ 自由に機能追加可 |
| 信頼性 | △ 素人感が出る | ◎ プロの信頼感 |
【自作】を選んでもいいケース
- 創業資金が極端に少なく、1円でも節約したい。
- Web集客は全く考えていない（名刺代わり）。
- 社長自身にデザインやWebのセンスがあり、作業時間が苦にならない。
- 数ヶ月限定のイベントページなど、使い捨てのサイト。
【プロ依頼】を選ぶべきケース
- Webから新規顧客を獲得したい（売上アップ）。
- 競合他社と比較された時に、見劣りしたくない。
- 法人取引がメインで、会社の信頼性が重要。
- 社長が忙しく、制作作業に時間を割けない。
- 3年、5年と長く使える「資産」を作りたい。
5. 賢い「第3の選択肢」。ハイブリッド型という戦い方
「プロに頼みたいけど予算がない…」
「自分で作りたいけど品質が不安…」
そんな方には、「ハイブリッド型」をおすすめします。
これは、「土台（設計とデザイン）はプロに頼み、中身（更新）は自分たちでやる」という方法です。
具体的には、
- 制作会社に「WordPress（ワードプレス）」でサイトの枠組みを作ってもらう。
- ここでプロのデザインと、SEOに強い内部構造を手に入れます。
- ブログや事例紹介、お知らせは、自社で更新する。
- WordPressなら、ブログ感覚で簡単にページを増やせます。
これなら、初期費用をある程度抑えつつ（ページ数を減らして発注する等）、運用コストをゼロにし、かつプロ品質のサイトを持つことができます。
最もコストパフォーマンスが良く、多くの中小企業が採用している成功パターンです。
6. まとめ：Webサイトは「消費」ではなく「投資」である
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「自作」か「プロ依頼」か。
最後に、もっとも重要なマインドセットをお伝えします。
Webサイトにかけるお金と時間を、「消費（コスト）」だと思わないでください。
それは、将来の売上を生み出すための「投資」です。
- 自作サイト：投資額は0円ですが、リターン（売上）も0円のままかもしれません。むしろ、時間の浪費というマイナスを生むかもしれません。
- プロ依頼サイト：投資額は100万円かかるかもしれません。しかし、そのサイトが毎月10万円の利益を生めば、1年もしないうちに回収でき、その後はずっと「プラスの資産」になります。
経営において重要なのは、「いくら払うか（安さ）」ではなく、「いくら返ってくるか（投資対効果）」です。
もし、あなたが「本気でビジネスを成長させたい」と願うなら。
目先の安さに惑わされず、「稼げるサイト」を手に入れるための投資を検討してください。
もちろん、無理な借金をする必要はありません。補助金を使う、ページ数を絞ってプロに頼むなど、方法はいくらでもあります。
「とりあえず自分で」と作ったサイトが、半年後に「誰も見ない廃墟」になる前に。
一度、信頼できる制作会社に相談し、「うちの予算で、一番効果が出る方法はないか？」と聞いてみることを強くお勧めします。
御社の賢明な決断が、ビジネスを飛躍させる強力なエンジンとなることを、心より応援しております。
【編集後記】
余談ですが、「自作で頑張ったけど挫折しました…」といって私の元に相談に来られる経営者様は後を絶ちません。
その際、多くのデータ移行ができず、結局ゼロから作り直しになるケースが多いです。
「最初からプロに頼んでおけば、時間もお金も無駄にしなかったのに」
そんな後悔をしないよう、最初の第一歩を慎重に選んでくださいね。
