~「建売住宅」と「注文住宅」、御社のビジネスに最適なのはどっち? 失敗しない選び方の決定版~
「ホームページ制作の見積もりを取ったら、A社からは『テンプレートを使えば30万円です』と言われ、B社からは『オリジナルで作るので150万円です』と言われた」
「見た目が綺麗なら、安いテンプレートで十分ではないか?」
「いや、他社と被るのは嫌だ。やはりオリジナルで作るべきか…」
ホームページ制作を検討中の経営者様であれば、必ず一度はこの「テンプレート vs オリジナル」という二択の壁にぶつかります。
金額にして数倍、時には10倍以上の差が出るこの二つの選択肢。
安易に「安いから」という理由でテンプレートを選んで後悔するケースもあれば、逆に「高い方が良いはずだ」とオリジナルを選んでオーバースペック(無駄遣い)になってしまうケースも後を絶ちません。
結論から申し上げます。
この二つに「絶対的な正解」はありません。あるのは「今の御社のフェーズ(状況)に合っているかどうか」だけです。
私はこれまで、数百社のWeb制作に関わってきました。
その経験から言えるのは、テンプレートで十分成功する企業もあれば、オリジナルでなければ勝てない企業もあるということです。
この記事では、Web制作のプロフェッショナルである私が、テンプレート利用とオリジナルデザインの違いを、専門用語を使わずに徹底比較します。
費用感だけでなく、それぞれのメリット・デメリット、そして「SEO(集客)への影響」まで踏み込んで解説します。
これを読めば、御社が今、どちらのカードを切るべきか、自信を持って判断できるようになるはずです。
無駄なコストを抑え、最短で成果を出すための「賢い選択」をするために。ぜひ最後までお付き合いください。
1. そもそも何が違う? 「建売住宅」と「注文住宅」で考える
まず、両者の違いを直感的に理解するために、「家づくり」に例えてみましょう。
Webサイト構築は、家を建てるプロセスと非常によく似ています。
テンプレート制作 = 「建売住宅(またはプレハブ)」
- 仕組み: すでに設計図があり、ある程度完成された「型」を使います。御社はその型に、自社の看板(ロゴ)を掛け、家具(写真や文章)を入れるだけです。
- 特徴: 設計の手間がない分、圧倒的に安く、早く完成します。 しかし、「ここの壁を取り払いたい」「窓の形を変えたい」といった構造的な変更はできません。
オリジナルデザイン = 「注文住宅」
- 仕組み: 真っ白な設計図からスタートします。「どんな人が住むのか(ターゲット)」「どんな生活をしたいのか(目的)」に合わせて、一から間取りを引き、柱を立てていきます。
- 特徴: 御社のこだわりを100%反映でき、世界に一つだけの家ができます。しかし、設計士や大工の手間がかかる分、費用も期間もかかります。
このイメージを持った上で、それぞれの詳細を見ていきましょう。
2. 【テンプレート制作】のリアル。安さと早さの裏側
「テンプレート」とは、WordPressなどのシステムで使える「既製のデザインデータ」のことです。
近年はクオリティが劇的に向上しており、プロでもパッと見ではテンプレートだと分からないレベルのものも増えています。
メリット①:圧倒的なコストパフォーマンス
最大の魅力はやはり「安さ」です。
ゼロからデザインを考案し、それをプログラム(コーディング)する工程をカットできるため、人件費が大幅に下がります。
- 費用相場: 10万円 ~ 50万円程度
メリット②:完成イメージとのズレが少ない
オリジナル制作の場合、出来上がるまでどんなデザインになるか分かりません。
しかしテンプレートなら、「完成形」を最初に見て選ぶことができます。
「思っていたのと違う…」というトラブルが起きにくいのは、大きなメリットです。
メリット③:納期が早い
原稿と写真さえあれば、最短1週間~1ヶ月程度で公開できます。
「来月のイベントに間に合わせたい」「急ぎで会社概要が必要」といった場合に最適です。
デメリット:差別化の難しさと「型」の制限
- デザイン被り: 人気のテンプレートを使うと、他社のサイトとレイアウトや雰囲気が似てしまうことがあります。
- 拡張性の低さ: 「ここにバナーを置きたい」「お問い合わせフォームの項目を特殊にしたい」といった要望が出た時、「テンプレートの仕様上できません」と断られることがあります。
どんな企業に向いている?
- 創業初期で予算が限られている。
- 名刺代わりのサイトとして、まずは存在すればいい。
- デザインへのこだわりよりも、スピードを優先したい。
3. 【オリジナルデザイン】の真価。ブランドと成果を作る投資
次に、オリジナルデザイン(オーダーメイド)についてです。
なぜ、多くの企業が高いお金を払ってこちらを選ぶのでしょうか?
メリット①:戦略に基づいた「最適な設計」ができる
これが最大の価値です。単に「見た目がかっこいい」だけではありません。
「ターゲットである50代男性が、迷わず資料請求ボタンを押すための導線」
「御社の強みである『技術力』を、直感的に伝えるためのレイアウト」
これらを計算し尽くして設計できるため、「売れるサイト(成約率の高いサイト)」を作りやすくなります。
メリット②:圧倒的なブランディング(信頼感)
世界に一つだけのデザインは、企業の「格」を表します。
競合他社と比較された際、「あ、この会社はしっかりお金をかけているな」「独自の世界観があるな」という印象を与え、信頼獲得に繋がります。
メリット③:拡張性と自由度
将来的に機能を追加したり、ページを増やしたりする際も、最初から拡張を見越して設計しておけばスムーズに対応できます。ビジネスの成長に合わせてサイトも育てていけるのです。
デメリット:コストと時間がかかる
- 費用相場: 50万円 ~ 数百万円以上
- 制作期間: 3ヶ月 ~ 半年また、発注者側(御社)も、度重なる打ち合わせや確認作業に時間を割く必要があります。
どんな企業に向いている?
- Webサイトを集客の柱(営業マン)にしたい。
- 競合他社との差別化を図り、ブランド価値を高めたい。
- 予算があり、長期的に使える資産を作りたい。
4. SEO(集客力)に違いはあるのか? プロの見解
経営者様が最も気にされるのが、「テンプレートだとSEOに弱い(検索順位が上がらない)のでは?」という点です。
結論:「テンプレートだから弱い」は過去の話
一昔前のテンプレートは、内部のプログラムが汚く、Googleに嫌われるものもありました。
しかし、現在流通している有料テンプレートや、制作会社が使うテンプレートは、SEO対策がしっかり施されているものが大半です。
ですので、「テンプレートを使ったから順位が上がらない」ということは、基本的にはありません。
勝負を分けるのは「箱」ではなく「中身」
SEOで重要なのは、デザイン(箱)よりも、コンテンツ(中身の文章や情報)です。
オリジナルで100万円かけて作ったスカスカのサイトより、テンプレートで10万円で作って、残り90万円で「良質な記事」をたくさん書いたサイトの方が、間違いなく検索順位は上がります。
ただし、「コンバージョン率(成約率)」には差が出ます。
オリジナルデザインの方が、ターゲットに合わせた緻密な誘導ができるため、「アクセスが来た後に、問い合わせに繋がる確率」は高くなる傾向があります。
5. 第3の選択肢「セミオーダー」という賢い妥協点
ここまで「0か100か」で比較してきましたが、実はその中間の「セミオーダー」という選択肢もあります。
これは、「ベースはテンプレートを使いつつ、重要な部分(トップページなど)だけカスタマイズする」という手法です。
- 費用: 30万円 ~ 80万円程度
- メリット: テンプレートの安さと早さを活かしつつ、他社との被りを防ぎ、自社らしさを出せる。
多くの制作会社が「ライトプラン」「スタンダードプラン」として提供しているのがこの形式です。
中小企業にとっては、最もコストパフォーマンスの良い現実的な選択肢と言えるかもしれません。
6. 失敗しない選び方。御社が今選ぶべきはどっち?
最後に、意思決定のためのチェックリストをご用意しました。
以下の質問に答えてみてください。
Q1. 今回のWebサイトの主目的は?
- A. とりあえず取引先に見せるための名刺代わり → テンプレート
- B. 新規顧客を獲得し、売上を伸ばすための武器 → オリジナル
Q2. 競合他社のサイトを見てどう思いますか?
- A. 「うちはうち、よそはよそ」であまり気にならない → テンプレート
- B. 「このライバル会社より良いサイトに見せたい!」 → オリジナル
Q3. 用意できる予算と時間は?
- A. 予算50万円以下、1ヶ月以内で公開したい → テンプレート
- B. 予算100万円以上、じっくり戦略を練りたい → オリジナル
Q4. サイトに掲載する「写真」や「文章」は?
- A. 全部自分で用意するし、素材サイトの写真でいい → テンプレート
- B. プロに撮影してもらい、ライターに文章を頼みたい → オリジナル(の予算感が必要)
7. まとめ:デザインは「手段」であり「目的」ではない
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
テンプレートか、オリジナルか。
この議論のゴールは、「どちらが優れているか」を決めることではありません。
「御社のビジネスの目的を達成するために、どちらが『投資対効果』が高いか」を見極めることです。
- 「まずは小さく始めて(テンプレート)、売上が上がったらリニューアル(オリジナル)する」
- 「最初から勝負をかけて(オリジナル)、一気に市場シェアを取る」
どちらも立派な戦略です。
一番もったいないのは、「なんとなく」で選んでしまうことです。
制作会社に相談する際は、
「今のうちのフェーズなら、テンプレートでコストを抑えて、その分を広告費に回した方がいいですか? それともオリジナルで成約率を高めた方がいいですか?」
と、率直に聞いてみてください。
優秀な制作会社なら、自社の売り上げ都合ではなく、御社のビジネス視点で最適なプランを提案してくれるはずです。
御社のWeb戦略が、最適な「器」を得て、大きく飛躍することを心より応援しております。
【編集後記】
余談ですが、私が個人的に運営しているサイトの多くは「テンプレート」を使っています。なぜなら、目的が「情報を伝えること」に特化しているからです。
一方で、企業のコーポレートサイトを作る時は「信頼」が重要なので、オリジナルを推奨することが多いです。
「誰に、どう見られたいか」。結局はそこに尽きるんですよね。

