~見た目だけの「美容整形」で終わらせない、売れるWebサイトへの体質改善~
「ホームページが古くなってきたから、そろそろ今風のかっこいいデザインにしたい」
「とりあえず、スマホで見やすくリニューアルしてくれればいい」
もし、あなたが今このように考えてリニューアルを検討されているなら、一度立ち止まってください。
厳しいことを申し上げるようですが、その考えのまま進めると、9割の確率でリニューアルは失敗します。
「失敗」とは、デザインが崩れることではありません。
「数百万円のお金をかけたのに、問い合わせ件数がリニューアル前と全く変わらない(あるいは減ってしまう)」 という、経営的な失敗です。
私はこれまで、多くの経営者様から「デザインは綺麗になったけど、全く反応がない」という相談を受けてきました。その原因のほとんどは、「戦略なきデザイン変更」にあります。
ホームページのリニューアルは、単なる「模様替え」ではありません。ビジネスの成果を最大化するための「経営戦略の再構築」です。
この記事では、Web集客のプロフェッショナルとして、「見た目を綺麗にするだけのリニューアル」がいかに危険かを解説し、確実に成果を出すための「失敗しない進め方」をステップバイステップでお伝えします。
専門用語は極力使わず、経営判断に必要な視点だけを凝縮しました。これから制作会社に見積もりを取ろうとしている方は、その前に必ずご一読ください。
1. なぜ「デザインだけ変える」と失敗するのか?
多くの経営者様が陥る罠。それは「かっこいいサイトになれば、お客様は勝手に集まるだろう」という幻想です。しかし、Webの世界はそこまで甘くありません。
1-1. 「綺麗なサイト」=「売れるサイト」ではない
想像してみてください。内装がものすごく豪華でお洒落なレストランがあるとします。
しかし、その店が「砂漠のど真ん中」にあり(アクセスがない)、メニューが「フランス語だけで読めない」(伝わらない)としたら、お客様は来るでしょうか?
ホームページも同じです。
- デザイン: お店の内装
- SEO(集客): 立地・看板
- コンテンツ(文章): メニュー・接客
デザインを一新して「内装」だけを綺麗にしても、そこに人を呼ぶ「SEO」や、商品の魅力を伝える「文章」が伴っていなければ、売上は1円も上がりません。
むしろ、お洒落さを優先しすぎて「問い合わせボタンが見つけにくい」「文字が小さすぎて読めない」といった改悪が起き、リニューアル後に売上が激減するケースさえあるのです。
1-2. 目的があいまいなまま走ってしまう
「なんとなく古臭いから」という理由だけでスタートすると、制作会社への指示もあやふやになります。
「スタイリッシュに」「先進的な感じで」といった抽象的なオーダーは、デザイナーの自己満足を生む温床です。
ビジネスにおけるWebサイトの目的は、あくまで「課題解決」です。
「採用のエントリーを増やしたいのか?」「商品の資料請求を増やしたいのか?」「会社のブランディング(信頼向上)をしたいのか?」
このゴール設定がズレていると、どんなに美しいデザインを作っても、それは「的の外れた矢」にしかなりません。
2. 失敗しないための「リニューアルの3大原則」
では、成功するリニューアルには何が必要なのでしょうか。押さえておくべきは、たった3つの原則です。
原則①:現状分析(健康診断)なくして処置なし
病院に行って、医師がいきなり「とりあえず手術しましょう」と言ってきたら怖いですよね?まずは検査をするはずです。
Webサイトも同じです。
- 今のサイトのどのページが一番見られているのか?
- どこでユーザーが離脱しているのか?
- 「お問い合わせ」をしてくる人は、どんなキーワードで検索してきたのか?
Googleアナリティクスなどのデータを見て、「残すべき強み」と「改善すべき弱点」を明確にすること。これが全てのスタートラインです。
原則②:ターゲット(ペルソナ)を再定義する
創業当時と今とでは、御社がターゲットとするお客様像が変わっている可能性があります。
「30代の個人客」向けだったのが、今は「50代の法人決裁者」がメインになっているなら、サイトの言葉遣いも、文字の大きさも、使うべき色味もガラリと変わります。
「誰に」伝えたいのかを、制作会社と徹底的に擦り合わせることが重要です。
原則③:デザインよりも「設計(ワイヤーフレーム)」に命をかける
家を建てる時、壁紙の柄を選ぶ前に「間取り」を決めますよね。Webサイトでも、デザイン(色や装飾)に入る前の「設計図(ワイヤーフレーム)」が最も重要です。
- トップページのどこに「強み」を配置するか。
- スマホで見た時、お問い合わせボタンはどう動くか。
- お客様が知りたい情報へ、何クリックで辿り着けるか。
この「設計図」の段階で、集客の勝負は8割決まっています。ここで妥協せず、徹底的にユーザー目線で動線を考えることが成功への鍵です。
3. リニューアルを成功に導く「正しい進め方」5ステップ
ここからは、実際にリニューアルプロジェクトを進める際の流れを解説します。丸投げにせず、このステップを意識して制作会社と関わってください。
STEP 1:RFP(提案依頼書)の作成
いきなり「見積もりください」と言うのはNGです。まずは社内で以下の項目をまとめましょう。これを「RFP」と呼びます。これを作るだけで、提案の質が劇的に上がります。
- リニューアルの目的(例:問い合わせ数を2倍にしたい)
- ターゲット層
- 現在のサイトの不満点
- 参考まねしたいサイト(他業種でもOK)
- 予算と納期
STEP 2:パートナー(制作会社)選び
デザインセンスだけで選ばないでください。
「御社のビジネスを理解しようとしてくれるか?」を見てください。
「かっこいいサイトを作ります!」という会社よりも、「御社の競合はここなので、このキーワードで勝負しましょう」と、マーケティング視点で提案してくれる会社が正解です。
STEP 3:構成案(ワイヤーフレーム)の確認
先ほどお伝えした「設計図」の段階です。
ここでは「デザインが綺麗か」ではなく、「論理的に正しいか」をチェックします。
「お客様はここで不安になるはずだから、ここに『よくある質問』を入れましょう」といった議論ができるのが理想です。
STEP 4:デザイン・コーディング・コンテンツ作成
いよいよ形にしていくフェーズです。ここで重要なのは「原稿(テキスト)」です。
「原稿は御社で用意してください」と言われることが多いですが、できれば「プロのライター」に依頼するか、ライティングのサポートがある制作会社を選んでください。
素人が書いた文章と、プロが書いた「売れる文章(セールスライティング)」では、成約率に10倍以上の差が出ることがあります。
STEP 5:公開後の運用・改善
公開ボタンを押したらゴール…ではありません。そこがスタートです。
リニューアル直後は検索順位が一時的に不安定になることもあります。アクセスデータを分析し、「思ったよりこのページが見られていないな」といった気づきを得て、微調整を繰り返す。
ここまで伴走してくれるパートナーを選ぶことが、長期的な成功の秘訣です。
4. よくある失敗事例と回避策【Q&A】
Q. 写真素材はスマホで撮ったものでいい?
A. 絶対にNGです。
Webサイトの印象の7割は「写真」で決まります。素人が撮った暗い写真は、それだけで「安っぽい会社」「信頼できない会社」というレッテルを貼られます。数万円のコストをかけてでも、必ずプロのカメラマンに撮影を依頼してください。その投資対効果は絶大です。
Q. 「WordPress(ワードプレス)」にした方がいい?
A. 基本的にはYESです。
お知らせやブログを、社内で自由に更新できるようになります。更新頻度が高いサイトはGoogleからも評価されやすいため、SEO対策としても有効です。ただし、セキュリティ管理が必要になるため、保守契約の内容はしっかり確認しましょう。
Q. 予算はどれくらいかけるべき?
A. 「期待する売上」から逆算してください。
Webサイト経由で年間1,000万円の売上を作りたいなら、100万円〜200万円の投資は決して高くありません。逆に、名刺代わりのサイトでいいなら30万円でも十分です。
「安ければいい」で選ぶと、後から修正費用がかさんだり、全く集客できずに作り直すことになり、結果的に「安物買いの銭失い」になります。
5. まとめ:リニューアルは「投資」である
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ホームページのリニューアルは、経営者にとって大きな決断です。費用もかかりますし、社員の時間も使います。
しかし、正しい手順で作り上げたWebサイトは、「24時間365日、文句も言わずに働き続ける最強の営業マン」になります。
- 見た目だけでなく、中身(戦略)を変える。
- お客様(ターゲット)を深く理解する。
- 公開後も育て続ける。
この視点さえ持っていれば、リニューアルは必ず御社のビジネスを加速させる起爆剤になります。
もし今、
「どこの制作会社に頼めばいいか分からない」
「自社の課題がどこにあるのか診断してほしい」
とお悩みであれば、まずは「戦略」を一緒に考えてくれる専門家に相談することから始めてみてください。
デザインの魔法に惑わされず、「本当に売れるWebサイト」を手に入れる賢明な判断を、あなたが下せることを確信しています。
【編集後記】
実は、この記事を書いている私自身も、過去に「デザイン重視」でリニューアルをして失敗した経験があります(笑)。見た目は最高にかっこよかったのですが、文字が小さすぎて読めず、問い合わせが激減して青ざめました…。
そんな痛い経験があるからこそ、あなたには「遠回り」をしてほしくないのです。
Webサイトは、御社の顔であり、心臓部です。ぜひ、素敵なパートナーを見つけて、最高のリニューアルを成功させてくださいね。応援しています!

