～「見積もりの桁が違う…」と迷う前に知っておきたい、適正価格と選び方の基準～
「ホームページを作りたいと思い、数社に見積もりをとってみた。するとA社は30万円、B社は200万円…。同じような要望を伝えたはずなのに、なぜここまで金額が違うのか？」
「個人事業主としてスタートしたばかりで予算は限られているが、安かろう悪かろうでは困る」
「相場がわからず、ぼったくられるのではないかと不安だ」
今、このページをご覧になっているあなたは、このようなお悩みを抱えていらっしゃいませんか？
経営者様にとって、ホームページ制作は決して安い買い物ではありません。しかし、家電製品のように「型番」があるわけではないため、定価が見えにくく、判断に迷われるのは当然のことです。
実は、Web制作業界には「価格のからくり」があります。
この仕組みを知らないまま、「なんとなく安いから」という理由だけで発注先を決めてしまうと、後になって「修正に追加費用がかかる」「全く集客できない」「スマホで見づらい」といったトラブルに巻き込まれ、結果として「安物買いの銭失い」になってしまうケースが後を絶ちません。
この記事では、Web集客の最前線で活動する私の視点から、個人事業主・中小企業様における「ホームページ制作のリアルな費用相場」を、包み隠さず徹底解説します。
専門用語は極力使わず、経営判断に必要な「お金」と「対価」の関係に焦点を当てました。
この記事を読み終える頃には、お手元の見積もりが適正かどうか、自信を持って判断できるようになっているはずです。
1. なぜ、制作会社によって見積もりが「10倍」も違うのか？
まず最初に、一番の疑問である「価格差の正体」を解き明かしましょう。
30万円のサイトと、300万円のサイト。見た目はどちらも綺麗かもしれませんが、中身は全く別物です。
この違いを理解するには、「注文住宅」と「プレハブ住宅」の違いをイメージすると分かりやすくなります。
1-1. 費用の大半は「人件費（作業時間）」
ホームページ制作費の内訳の7〜8割は、制作に関わるプロフェッショナルたちの「人件費」です。
- 格安プラン（プレハブ住宅）：
- 決まった型（テンプレート）に、写真と文字を流し込むだけ。
- 作業するのは1人〜少人数。
- 作業期間は数日〜2週間。
- 結果： 安いが、オリジナリティはなく、集客の戦略も入らない。
- 高額プラン（注文住宅）：
- 「誰に」「何を」売るかという戦略設計から入る。
- ディレクター、デザイナー、ライター、エンジニアなど専門家チームが動く。
- 作業期間は3ヶ月〜半年。
- 結果： 高額だが、御社の強みが伝わり、「売れる」サイトになる。
つまり、見積もりの金額差は、「御社のビジネスを成功させるために、プロがどれだけの時間を費やすか」の差なのです。
1-2. 「作る目的」によって適正価格は変わる
大切なのは、「高いのが良くて、安いのが悪い」ということではありません。
「御社がホームページに何を求めているか」によって、選ぶべきプランが変わるということです。
- 「とりあえず名刺代わりにURLがあればいい」 → 格安プランで十分
- 「Webから新規顧客を獲得したい」 → 戦略的なプランが必要
目的と予算がチグハグだと、無駄な出費になります。次章で、目的別の相場を見ていきましょう。
2. 【目的別】ホームページ制作の費用相場表
ここでは、個人事業主や中小企業が発注する際によくある3つのパターンに分けて、相場を解説します。
パターンA：名刺代わりの小規模サイト（とりあえず作りたい）
- 相場： 10万円 ～ 50万円
- ターゲット： 開業したての個人事業主、紹介営業がメインの士業など
- 内容：
- ページ数：1〜5ページ程度（トップ、会社概要、サービス、問い合わせ）
- デザイン：既存のテンプレートを使用
- 原稿・写真：すべて自社で用意（完全支給）
- メリット： とにかく初期費用を抑えられる。短納期（1ヶ月以内）で公開できる。
- デメリット： 集客機能（SEO対策など）は期待できない。デザインが他社と被る可能性がある。
予算がない時期は無理をせず、ここからスタートするのも賢い選択です。ただし、「集客はできない（ただの看板）」と割り切ることが重要です。
パターンB：信頼獲得・標準的なコーポレートサイト（一般的）
- 相場： 50万円 ～ 150万円
- ターゲット： 中小企業、店舗、採用を強化したい会社
- 内容：
- ページ数：10〜20ページ程度
- デザイン：オリジナルデザイン（スマホ対応込み）
- 機能：お知らせやブログを自分で更新できる機能（WordPressなど）
- 原稿：プロによるリライト（整文）が入る場合も
- メリット： 「しっかりした会社」という信頼感を与えられる。更新システムが入るので、自社で情報を発信できる。
- デメリット： 本格的なマーケティング戦略までは含まれないことが多い。
最も多い価格帯です。スマホ対応（レスポンシブ）は必須条件として確認してください。このランクなら、見た目で「安っぽい」と思われるリスクは回避できます。
パターンC：集客・売上アップ特化型サイト（攻めのWeb戦略）
- 相場： 150万円 ～ 300万円以上
- ターゲット： Webを営業の柱にしたい企業、ECサイト、ブランディング重視の企業
- 内容：
- 戦略：競合調査、キーワード選定、ターゲット設定
- 制作：プロカメラマン撮影、プロライターによる原稿作成
- SEO対策：内部構造からコンテンツまで徹底的な最適化
- 運用：公開後のアクセス解析や改善提案が含まれることも
- メリット： 「24時間働く優秀な営業マン」を手に入れることができる。投資対効果（ROI）が高い。
- デメリット： 初期費用が高く、制作期間も長い（3ヶ月〜）。
金額だけ見ると高いですが、これで月に100万円の売上を作るなら「安い投資」です。本気でWeb集客をするなら、このクラスのパートナーを選ぶ必要があります。
3. 見積書には載らない？忘れがちな「ランニングコスト」
制作費（イニシャルコスト）ばかりに目が行きがちですが、車にガソリン代や車検代がかかるように、ホームページにも「維持費（ランニングコスト）」がかかります。
ここを見落としていると、後で「毎月の支払いがきつい」ということになりかねません。
3-1. 必須費用（サーバー・ドメイン代）
- 相場： 月額 1,000円 ～ 5,000円
- 家賃のようなものです。自社で契約すれば安いですが、管理を制作会社に任せる場合は管理費が上乗せされます。
3-2. 保守・管理費用
- 相場： 月額 5,000円 ～ 5万円
- システムのバージョンアップ、データのバックアップ、セキュリティ対策、軽微な修正対応などです。
- 「月額5,000円」ならサーバー管理程度、「月額3万円〜」なら修正対応込み、といったケースが多いです。契約前に「月額費用の中でどこまでやってくれるのか？」を必ず確認しましょう。
3-3. 更新・運用サポート費用
- 相場： 月額 3万円 ～ 数十万円
- ブログの代行執筆や、アクセス解析レポート、コンサルティングなど、「サイトを育てる」ための費用です。集客を目指すなら、ここの予算確保が重要になります。
4. 「フリーランス」VS「制作会社」どっちに頼むべき？
発注先を「個人のフリーランス」にするか、「法人の制作会社」にするかも、費用を左右する大きな要因です。
フリーランス（個人）に依頼する場合
- 費用感： 相場の 50% ～ 70% 程度
- メリット： とにかく安い。融通が利きやすく、連絡が早いことも多い。
- デメリット：
- 品質にバラつきがある（当たり外れが大きい）。
- その人が病気になったり廃業したりすると、連絡が取れなくなるリスクがある。
- デザインは得意だがシステムは苦手、などスキルに偏りがある場合も。
- 向いている人： 予算を最優先したい方、信頼できる個人のツテがある方。
制作会社（法人）に依頼する場合
- 費用感： 相場通り
- メリット：
- チームで対応するため品質が安定している。
- 倒産リスクが低く、長く付き合える安心感がある。
- 幅広い要望（デザイン、システム、マーケティング）に対応できる。
- デメリット： 費用が高くなる。担当者が変わることもある。
- 向いている人： 品質の保証が欲しい方、法人としての取引（契約書など）を重視する方。
5. 質を落とさずに費用を抑える「3つの裏技」
「予算は限られているけれど、できるだけ良いものを作りたい」
そんな経営者様のために、賢くコストダウンするテクニックをお伝えします。
① 「原稿」と「写真」を自社で完璧に用意する
見積もりの中で意外と高いのが「原稿作成費」と「撮影費」です。
これらを「すべて自社で支給します（リライト不要）」と伝えれば、数十万円単位で安くなることがあります。
ただし、写真のクオリティはサイトの印象を左右するため、スマホで適当に撮った写真は避けましょう。
② 「補助金・助成金」を活用する
国や自治体は、中小企業のIT化を支援しています。
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金これらを活用すれば、制作費の1/2 ～ 2/3（最大数百万円）が戻ってくる可能性があります。「補助金対応可能」な制作会社を選ぶのがポイントです。
③ 最初は「小さく」作る
最初から100点の巨大サイトを作る必要はありません。
まずは最低限必要な5ページだけで公開し、売上が上がってからブログ機能を追加したり、採用ページを足したりする。
このように「段階的にリニューアル」することで、初期投資を抑えることができます。WordPressなどの更新しやすいシステムで作っておけば、後からの拡張も簡単です。
6. まとめ：見積もり金額だけで決めてはいけない
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ホームページ制作の費用相場について、霧が晴れてきましたでしょうか？
最後に、もっとも重要なことをお伝えします。
それは、「ホームページは『コスト（経費）』ではなく『投資』である」という視点です。
例えば、
- A社：30万円（見た目は普通、集客効果なし）
- B社：150万円（戦略的、毎月5件の問い合わせ獲得）
この場合、一見A社が安いですが、3年後を想像してください。
A社は0円のままですが、B社は毎月新規顧客を連れてきて、数千万円の売上を生み出しているかもしれません。
この場合、本当に「安い」買い物はどちらでしょうか？
見積書を見比べる際は、合計金額の数字だけを見るのではなく、
「この金額で、御社は何を実現してくれるのか？」
「その投資は、いつ回収できるのか？」
という視点で、担当者に質問をぶつけてみてください。
その問いに対して、明確な戦略と熱意を持って答えてくれるパートナーこそが、御社のビジネスを成功に導いてくれるはずです。
もし、今のお見積もりに不安があったり、「自分の場合はどのプランが最適か」を迷われたりしている場合は、セカンドオピニオンとして別の制作会社に話を聞いてみるのも一つの手です。
御社の素晴らしいビジネスが、最適なホームページによってさらに飛躍することを、心より応援しております。
