~「初期費用0円」「3万円」の裏側に潜む罠と、賢い歩き方~
「ホームページを作りたいが、創業したばかりで資金に余裕がない」
「ネットで検索すると『制作費0円』『月額数千円』という業者がたくさん出てくる」
「正直、何十万円もかけるのと何が違うのか分からない。安く済むならそれでいいのでは?」
経営者の皆様、コストを抑えたいというお気持ち、痛いほどよく分かります。
会社の利益を守るために、経費を削減しようとする姿勢は経営者として正解です。
しかし、Web業界に長く身を置く私から、一つだけ警告させてください。
ホームページ制作における「格安」には、必ず「理由(ワケ)」があります。
その理由を知らずに、「安いから」というだけで契約書に判を押してしまうと、
「毎月高額なリース料を5年も払い続けることになった」
「解約したらホームページが消滅すると言われた」
「全く集客できず、作り直すことになり、結局高くついた」
という、目も当てられない失敗に陥るリスクが極めて高いのです。
この記事では、甘い言葉で誘惑する「格安ホームページ制作」のからくりと、絶対に踏んではいけない「地雷」について、業界の裏側を包み隠さずお話しします。
これは、ただの脅しではありません。
御社の大切な資金を守り、「本当に価値のある安さ」を見極めるための、転ばぬ先の杖となるガイドブックです。
1. なぜ、そんなに安く作れるのか?「格安」の3つの正体
まずは敵を知りましょう。相場が50万円〜100万円と言われる中で、なぜ3万円や0円で提供できるのでしょうか? 魔法ではありません。そこには明確な「コスト削減の仕組み」があります。
正体①:テンプレートへの「流し込み」作業
これが最も一般的です。
制作会社は、あらかじめ「型(テンプレート)」を持っています。
御社独自のこだわりや戦略をヒアリングする時間はありません。御社から送られてきた文章と写真を、その型にパズルにはめ込むだけ。
作業時間は数時間〜1日。だから安いのです。
リスク: 他社と似たようなデザインになり、差別化ができません。「御社らしさ」は消滅します。
正体②:作業の「丸投げ(セルフサービス)」
「制作費無料!ただし、作るのはあなた自身です」というパターンです。
WixやJimdoなどのツールを提供し、操作方法のサポートもしません。
リスク: 本業で忙しい社長が、慣れない作業に何十時間も費やすことになります。社長の時給を考えれば、実は「最も高い買い物」かもしれません。
正体③:実は怖い「リース・サブスクリプション」契約
「初期費用0円、月額2万円の5年契約」といったパターンです。
入り口は無料ですが、トータルで見ると「2万円×60ヶ月=120万円」を支払うことになります。
リスク: これが最大の地雷です。総額が高いだけでなく、「解約=サイト削除」という契約になっていることが多く、一度契約すると逃げられません。
2. ここがダメだよ格安サイト!経営に与える4つの悪影響
「とりあえずあればいい」と思って作った格安サイトが、実は御社のビジネスの足を引っ張っていることがあります。
影響①:信頼性が著しく低下する(ブランディングの失敗)
テンプレート感丸出しのサイト、スマホで見づらいサイト、画質の悪い写真。
これを見たお客様はどう思うでしょうか?
「この会社、お金がないのかな?」
「仕事も雑そうだな」
第一印象で「安っぽい会社」というレッテルを貼られてしまいます。特にBtoBや高単価商品を扱うビジネスにおいて、これは致命的です。
影響②:集客力が皆無(SEO対策の欠如)
格安制作の多くは、「見た目を作るだけ」で終わります。
検索キーワードの設計や、Googleに好かれる内部構造(SEO対策)などは一切考慮されていません。
結果、「社名で検索しないと出てこない」という、誰も訪れない無人島のようなサイトになります。
影響③:所有権を持てない(資産にならない)
多くの格安サービスでは、ドメイン(住所)やサーバー(土地)の契約名義が制作会社になっています。
「サービスに不満があるから他社に乗り換えたい」と言っても、
「ドメインは渡せません。移管するなら高額な手数料がかかります」
と言われ、泣き寝入りするケースが後を絶ちません。いつまで経っても「借家」住まいのままです。
影響④:拡張性がない(ビジネスの成長に追いつけない)
「ブログ機能を追加したい」「求人ページを増やしたい」
ビジネスが成長すれば、サイトへの要望も増えます。
しかし、格安サイトの多くは機能が制限されており、「それはできません」と断られるか、法外な追加費用を請求されます。結局、ゼロから作り直す羽目になり、二重投資になります。
3. それでも「格安」を選んでいいケースとは?
ここまでデメリットばかり挙げましたが、全ての格安サービスが悪だと言うつもりはありません。
「用途と期間」さえ間違えなければ、格安制作も有効な選択肢になります。
ケースA:名刺代わりの「とりあえずサイト」
- 開業したてで、銀行口座開設や融資のために「サイトがある事実」が必要。
- 集客は紹介やチラシがメインで、Webからの集客は全く期待していない。
- 判定: OKです。ただし、将来的に作り直す前提で契約しましょう。
ケースB:期間限定のキャンペーンサイト
- イベント告知など、数ヶ月で閉鎖する予定のサイト。
- 判定: OKです。SEO対策などの長期的資産形成が不要だからです。
ケースC:社長自身にWebスキルがある
- 自分で文章が書けて、写真も撮れて、更新作業も苦にならない。
- 判定: ツールの使い勝手さえ良ければOKです。
4. 失敗しないための「契約前チェックリスト」
もし格安制作会社に依頼するなら、契約書にサインする前に、必ず以下の項目を確認してください。
担当者が言葉を濁したら、その会社はやめておいた方が無難です。
□ ドメインとサーバーの名義は誰か?
「解約時に、ドメイン(URL)は自社で引き取れますか? その際の手数料はいくらですか?」
これは必ず聞いてください。「ドメインはお渡しできません」という会社はNGです。御社のWeb上の住所を人質に取られるのと同じだからです。
□ 契約期間と解約違約金はあるか?
「最低契約期間は何年ですか? 途中解約の違約金は?」
特に電話営業をしてくる業者は、「5年リース契約」を結ばせようとすることがあります。Webの世界で5年縛りは長すぎます。月単位、あるいは1年単位で更新できる契約を選びましょう。
□ 更新・修正費用はいくらか?
「文字の修正や画像の差し替えは、月額費用に含まれていますか? 都度払いですか?」
初期費用が安くても、修正のたびに1回5,000円…とかかっていたら、維持費が高くつきます。
□ スマホ対応(レスポンシブ)は標準か?
「スマホ対応はオプション(別料金)です」
という会社がまだ存在します。今はスマホ対応が標準(当たり前)です。オプション扱いの会社は技術力が古い可能性があります。
5. 「安くても良いもの」を作るための正しいコストダウン術
「リスクは分かった。でも、やっぱり予算は抑えたい!」
そんな賢明な経営者様へ。品質を落とさずに費用を抑える、プロが教える「正しい節約術」を伝授します。
術①:「スモールスタート」でページ数を減らす
見積もりが高くなる原因は「ページ数」です。
最初から10ページも作る必要はありません。
「トップページ」「サービス紹介」「会社概要・お問い合わせ」の必要最低限の3〜5ページに絞りましょう。
ページ数を減らせば、まともな制作会社でも安く請け負ってくれます。
術②:原稿と写真を「完全支給」にする
制作会社の手間を減らしてあげるのです。
「原稿はすべてこちらで用意します。写真もプロに撮ってもらったものがあります」
と伝えれば、ライティング費や撮影費をカットできます。
ただし、写真だけはケチらないでください。 5万円払ってプロカメラマンに撮ってもらうだけで、格安サイトでも「高級サイト」に見えます。
術③:補助金をフル活用する
「IT導入補助金」や「小規模事業者持続化補助金」を使えば、国が費用の1/2〜2/3を負担してくれます。
実質負担額を減らして、正規の価格でしっかりした制作会社に依頼する。これが最も賢い「安く作る方法」です。
6. まとめ:目先の「0円」より、将来の「100万円」を
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「安物買いの銭失い」という言葉は、Web制作のためにあるような言葉です。
初期費用をケチった結果、
- 誰も見ないサイトになり、
- ブランドイメージを下げ、
- 5年間のリース料で縛られ、
- 最後にドメインも手放すことになる。
これでは、何のためにサイトを作ったのか分かりません。
ホームページは、消費するものではなく、利益を生み出す「投資」です。
30万円かかったとしても、そのサイトが月に10万円の利益を生めば、3ヶ月で回収できます。
逆に、0円で作っても、利益が0円なら、それはタダの置物です。
どうか、「金額の安さ」だけで判断せず、
「このサイトは、将来の売上を作ってくれるのか?」
「この契約は、自社の資産になるのか?」
という視点で、パートナーを選んでください。
もし、今のお見積もりが適正か不安な場合は、セカンドオピニオンとして別の制作会社に話を聞くだけでも、視界が開けるはずです。
御社の賢明な判断が、ビジネスを加速させることを心より応援しております。
【編集後記】
実は私も昔、知人の依頼で「格安」でサイトを作ったことがあります。しかし、後から「あれもしたい、これもしたい」と言われても対応できず、結局お互いに不幸な結果になってしまいました…。
「適正価格」には、お互いを守る意味があるんだと痛感しました。
安さの裏側にあるリスク、ぜひ一度立ち止まって考えてみてくださいね。

