「一人で細々とやっているフリーランスだけど、国からの支援なんて受けられるの?」
「『助成金で〇〇万円もらえる』なんて広告を見るけど、従業員がいないとダメなんでしょ?」
日々、現場で汗を流している個人事業主の皆様、あるいは「一人親方」として腕を振るう職人の皆様。
資金繰りや設備投資について、こんなモヤモヤを抱えてはいませんか?
結論から申し上げます。
「従業員ゼロでも、国から受け取れるお金(支援金)は確実に存在します」。
しかし、ここには大きな「言葉の落とし穴」があります。
ここを勘違いしたままだと、いつまで経っても申請できず、本来もらえるはずだった数百万円をドブに捨てることになりかねません。
この記事では、専門用語を極力使わずに、「従業員がいない個人事業主が、具体的にどの制度を使えるのか」、そして「どうすれば審査に通るのか」を、プロの視点で徹底解説します。
これを読み終える頃には、あなたのビジネスを加速させるための「資金調達の地図」が手に入っているはずです。
1. 最初の落とし穴:「助成金」と「補助金」は全くの別物です
まず、ここをクリアにしないと話が進みません。多くの方が混同していますが、実は「助成金」と「補助金」は、出どころも目的も全く違う制度なのです。
① 助成金(厚生労働省 系)
- 財源: 会社が支払う「雇用保険料」
- 目的: 労働環境の改善、雇用の維持、スタッフの育成
- 特徴: 要件を満たせば、原則ほぼ100%もらえる
- 従業員ゼロの場合: 原則として「もらえません」
残念なお知らせですが、これが現実です。「助成金」の財源は雇用保険です。従業員を雇っておらず、雇用保険を支払っていない一人社長や個人事業主は、そもそも「保険料を払っていない」ため、受け取る権利がないのです。
② 補助金(経済産業省 系)
- 財源: 税金(法人税など)
- 目的: 事業の成長、生産性の向上、経済の活性化
- 特徴: 審査があり、合格(採択)しないともらえない
- 従業員ゼロの場合: 「もらえます!」(ここが狙い目)
今回、あなたが狙うべきはこちらです。経済産業省系の「補助金」です。
国は、たとえ一人であっても「稼ぐ力」を身につけ、売上を上げ、将来的に税金を納めてくれる事業者を全力で応援しています。
つまり、「従業員ゼロなら『助成金』は諦めて、『補助金』を全力で獲りに行く」。これが正解のルートです。
2. 従業員ゼロの個人事業主が狙うべき「3大・補助金」
では、具体的にどんな補助金が使えるのでしょうか。
難易度や使い勝手を踏まえ、一人親方やフリーランスに特におすすめの3つを厳選しました。
① 小規模事業者持続化補助金(通称:持続化補助金)
- おすすめ度: ★★★★★(絶対に検討すべき!)
- もらえる金額: 最大50万円~200万円(枠による)
- 使える経費: チラシ作成、Webサイト制作、店舗改装、看板設置など
これが個人事業主にとっての「キング・オブ・補助金」です。
名前の通り、「小規模な事業者」が事業を「持続」させるための「販路開拓」を支援してくれます。
- 「もっと集客するために、ちゃんとしたホームページを作りたい」
- 「近所に配るためのチラシをデザインして印刷したい」
- 「古くなった看板をリニューアルしたい」
こういった、「売上アップのための活動」に対して補助が出ます。
申請書類も比較的シンプルで、商工会議所のサポートを受けながら作成できるため、初めての補助金申請には最適です。
② IT導入補助金
- おすすめ度: ★★★★☆
- もらえる金額: 数十万円~最大450万円
- 使える経費: 会計ソフト、予約管理システム、CADソフト、PC・タブレット(条件あり)など
「インボイス制度が始まって、手書きの請求書が限界……」
「確定申告をもっと楽にしたい」
そんな悩みを解決するための「ITツール(ソフト)」の導入費を補助してくれます。
特に最近は、「インボイス対応枠」などがあり、安価な会計ソフトの導入でもPCやタブレットとセットで申請できるケースがあるため、事務作業を効率化したい一人社長には強い味方です。
③ ものづくり補助金
- おすすめ度: ★★☆☆☆(ハードルは高いが金額はデカい)
- もらえる金額: 最大750万円~
- 使える経費: 革新的なサービス開発、大型設備の導入など
これは少し上級者向けです。「ものづくり」という名前ですが、サービス業でも使えます。
ただし、「革新的なサービス」「他社がやっていない新しい取り組み」が求められるため、単なる設備の買い替えでは通りません。
- 「誰もやっていない特殊な加工技術を導入するために、1000万円の機械を入れる」
といった、社運を賭けた大きな投資をする場合に検討してください。
3. なぜ「赤字」や「売上ゼロ」でも申請できるのか?
「でも、うちは開業したばかりで実績がないし……」
「去年は赤字だったから、審査で落とされるんじゃ……」
そんな不安をお持ちの方も多いでしょう。しかし、安心してください。
補助金の審査員が見ているのは、**「過去」ではなく「未来」**です。
銀行融資と補助金の決定的な違い
- 銀行: 「お金を返せるか?」を見るため、過去の決算や現在の資産を重視します。
- 補助金: 「事業が成長するか?」を見るため、これからの計画を重視します。
たとえ直近が赤字であっても、「この補助金を使って広告を出せば、これだけお客様が増えて、来年は黒字になります!」という根拠のある計画書(ストーリー)が描ければ、採択される可能性は十分にあります。
むしろ、国としては「今は苦しいけれど、ポテンシャルのある事業者」を引き上げたいと考えているのです。
4. 従業員ゼロの事業者が審査に通るための「勝ちパターン」
補助金は「出せば通る」ものではありません。特に人気の「持続化補助金」などは、しっかりと対策を練る必要があります。
プロの視点から、採択率をグッと引き上げるポイントを伝授します。
ポイント①:「一人だからこそできる強み」をアピールする
大企業にはない、あなただけの強みは何ですか?
- 「オーナー自らが施工するから、細かな要望に対応できる(建設業)」
- 「深夜や早朝でも柔軟に対応できる(Web制作)」
- 「地域密着で、顔の見える付き合いができる(小売店)」
審査員に「なるほど、この人は小さいけれど、特定の顧客にとっては代わりのきかない存在なんだな」と思わせることが重要です。
ポイント②:数字は「どんぶり勘定」ではなく具体的に
計画書には売上予測を書く欄があります。ここで「なんとなく売上が2倍になります」と書いてはいけません。
- NG例: 「チラシを配ればお客さんが増えると思います。」
- OK例: 「チラシを5,000枚配布します。過去の経験値から反響率を0.1%と見込み、5件の新規成約(単価10万円)を獲得し、50万円の売上増を目指します。」
このように、「なぜその数字になるのか」という計算式(ロジック)を示してください。
ポイント③:商工会議所・商工会を味方につける
「持続化補助金」の申請には、地元の商工会議所(または商工会)の発行する書類が必要です。
これは面倒な手続きではありません。むしろチャンスです。
彼らは「地元の企業を応援する」のが仕事です。相談に行けば、無料で計画書の添削をしてくれたり、アドバイスをくれたりします。一人で悩まず、早い段階で相談に行くことで、書類のクオリティは格段に上がります。
5. 【応用編】あえて「従業員を雇う」という選択肢
ここまで「従業員ゼロ」で戦う方法をお伝えしましたが、少しだけ視点を変えてみませんか?
もし、あなたの事業が忙しくなってきているなら、「あえて一人雇って、助成金をもらう」という選択肢が出てきます。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
例えば、アルバイトを一人雇い、半年後に正社員にした場合、一人あたり80万円(最大)の助成金がもらえます。
※金額や要件は年度によって変わります。
「人を雇うと固定費がかかる」と怖がる方もいますが、助成金を活用すれば、初期の人件費負担を大幅に軽減できます。
事業拡大を考えているなら、「従業員ゼロ」にこだわらず、「補助金(設備投資)」と「助成金(人件費)」の両取りを狙うのが、最も賢い経営戦略と言えるでしょう。
6. 注意!怪しい「勧誘」には気をつけて
最後に、注意喚起です。
補助金・助成金のニーズが高まるにつれ、悪質な業者が増えています。
- 「誰でも100万円もらえます!」と電話営業してくる。
- 「着手金だけで30万円かかります」と高額な前金を要求する。
- 「不正受給の方法を教えます」とささやく。
特に「厚生労働省系の助成金を、従業員ゼロでももらえる裏技がある」などと言う業者は100%詐欺か、極めて危険なグレーゾーンです。発覚すれば、受給額の返還だけでなく、ペナルティ(加算金)や社名公表など、社会的信用を失います。
甘い言葉には乗らず、必ず国(公的機関)の公式サイトを確認するか、信頼できる専門家(認定支援機関、社労士、行政書士など)に相談してください。
7. まとめ:一人だからこそ、国の力を借りて飛躍しよう
長くなりましたが、今回のポイントをまとめます。
- 従業員ゼロなら、厚生労働省の「助成金」は対象外。経済産業省の「補助金」を狙え。
- 最もおすすめなのは、販路開拓に使える「小規模事業者持続化補助金」。
- ITツールを入れるなら「IT導入補助金」も視野に。
- 審査に通るコツは、「具体的かつ論理的な未来の計画」を見せること。
- 事業が軌道に乗ったら、人を雇って「助成金」へステップアップするのもアリ。
「補助金の申請なんて、難しそうだし面倒くさい」
そう思う気持ちは痛いほど分かります。現場仕事だけで手一杯ですよね。
しかし、その「面倒くさい書類」を一枚書くことで、50万円、100万円という、あなたの血と汗の結晶のような利益と同等の資金が手に入るのです。
これをやらない手はありません。
まずは、地元の商工会議所に電話をしてみるか、補助金の公募要領(ルールブック)をダウンロードして眺めてみることから始めてみませんか?
その小さな一歩が、あなたのビジネスを「一人親方」から「強い経営体」へと進化させる大きなきっかけになるはずです。
あなたの「次の一歩」をサポートします
この記事を読んで、「自分の場合はどうなんだろう?」「もっと具体的な書き方を知りたい」と思われた方へ。
私は補助金申請のプロとして、サポートが可能です。「一人で悩んでチャンスを逃したくない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。あなたの挑戦を全力で応援します。

