~「何もしていないのにお金を取られる」は誤解? 見えないコストの正体と適正価格の真実~
「ホームページ制作費が高いのは分かる。プロが時間をかけて作るのだから」
「でも、完成した後に毎月かかってくる『月額管理費』って、一体何なんだ?」
「何も更新していない月でも請求が来る。これって、ただの搾取じゃないのか?」
経営者の皆様、制作会社からの見積もりを見て、あるいは毎月の請求書を見て、このような不満を感じたことはありませんか?
その感覚は、経営者として非常に鋭く、正しいものです。
なぜなら、Web業界には「何もしていないのに毎月数万円の管理費を請求する会社」と、「しっかりとサイトを守り、育てるために費用を頂く会社」の両方が混在しているからです。
この2つを見極められないまま契約してしまうと、
「毎月お金を払っているのに、修正を頼んだら別料金と言われた」
「いざサイトが消えた時に、何の保証もしてくれなかった」
という、「払い損」の事態に陥ります。
一方で、「月額費用は無駄だ!維持費0円のところに頼もう!」と安易に飛びつくと、セキュリティ事故やデータ消失など、会社の信用に関わる致命的なリスクを背負い込むことになります。
この記事では、Webサイト運営における「月額費用(ランニングコスト)」の正体を、ブラックボックスを開けるように一つひとつ分解して解説します。
「何が必須で、何がオプションなのか」
「どこまでなら払う価値があり、どこからが無駄金なのか」
この記事を読めば、お手元の見積書や契約書の内容が「適正」かどうか、自信を持って判断できるようになるはずです。大切なお金を、本当の意味で会社の「安心」と「成長」に使うために。ぜひ最後までお付き合いください。
1. そもそも「月額費用」の内訳はどうなっている?
月額費用とひとくくりにされますが、実は大きく分けて3つの階層(レベル)があります。
これを「家」に例えると、驚くほど理解しやすくなります。
レベル1:【必須】インフラ費用(サーバー・ドメイン)
- 例え: 「土地代(サーバー)」と「住所の更新料(ドメイン)」
- 必要性: 絶対不可欠(これがないとサイトが消える)
- 相場: 自社契約なら月額 1,000円〜5,000円程度
Webサイトをインターネット上に表示し続けるための「場所代」です。
制作会社に管理を依頼する場合、実費に数千円の手数料が上乗せされるのが一般的です。これは「請求代行手数料」や「管理の手間賃」として妥当な範囲です。
レベル2:【守り】保守・メンテナンス費用
- 例え: 「警備保障(セコム)」や「定期的な修繕積立金」
- 必要性: ビジネス用サイトなら必須
- 相場: 月額 5,000円〜2万円程度
サイトのシステム(WordPressなど)を最新の状態に保ち、ウイルスから守り、万が一消えた時に備えてバックアップを取る費用です。
「何もしていない」ように見えて、実は裏側でエンジニアが監視してくれている保険のようなものです。
レベル3:【攻め】運用・更新サポート費用
- 例え: 「広報スタッフ」や「リフォーム担当者」
- 必要性: サイトで集客したいなら必要(自社でやるなら不要)
- 相場: 月額 1万円〜数万円(内容による)
「文章を直して」「写真を差し替えて」「アクセスレポートを出して」といった作業を代行してもらう費用です。
ここは「どこまで頼むか」によって金額が大きく変わります。
2. 「月額0円」や「格安」に潜む3つの地雷
「うちは月額管理費はいただきません!」という制作会社やフリーランスもいます。
一見魅力的に聞こえますが、経営者としては「タダより高いものはない」と疑うべきです。そこには3つのリスクが潜んでいます。
リスク①:サイトが改ざんされても「自己責任」
世界中のWebサイトの多くが、常にハッカーからの攻撃リスクに晒されています。
保守契約がない場合、もし御社のサイトが乗っ取られて「詐欺サイト」に書き換えられたとしても、制作会社は助けてくれません(または、復旧に数十万円の高額請求をされます)。
月額費用は、「何かあった時の緊急対応権」を買っているとも言えるのです。
リスク②:ちょっとした修正で「高額請求」
「電話番号が変わったから直して」と頼んだら、「都度対応なので1回1万円です」と言われる。
管理費を払っていない場合、相手にとって御社は「過去の客」です。優先順位は低く、作業単価も高くなります。
結果的に、月額契約していた方が安かったというケースは多々あります。
リスク③:ドメインの更新忘れで「サイト消滅」
笑えない話ですが、自社管理にしていた結果、年に一度のドメイン更新料の支払いを忘れ(担当者が辞めていた、メールを見逃していた等)、ある日突然サイトが消滅する事故が後を絶ちません。
一度失ったドメインを取り戻すのは困難です。この「管理の手間とリスク」を丸投げできる安心料と考えれば、管理費は決して高くありません。
3. その金額は適正? サービス内容別「相場チェック表」
では、いくら払うのが適正なのでしょうか?
御社が求めているサポートレベルに合わせて、以下の相場と照らし合わせてみてください。
| プラン | 相場(月額) | 主なサービス内容 | こんな会社におすすめ |
| 自社管理 | 1,000円〜 | サーバー・ドメイン実費のみ(制作会社への支払いは0円) | 社内に詳しいIT担当者がいる。トラブル時は自己解決できる。 |
| 維持管理 | 5,000円〜1万円 | サーバー管理代行、バックアップ、システム更新 | IT担当はいないが、サイトの更新は自分たちでやる。 |
| 修正込み | 1万円〜3万円 | 上記+月1〜2回のテキスト・画像修正 | お知らせなどは自分たちでやるが、画像加工などはプロに頼みたい。 |
| 運用支援 | 3万円〜5万円 | 上記+アクセス解析レポート、改善提案 | サイトを集客に活用したい。プロのアドバイスが欲しい。 |
| コンサル | 10万円〜 | Web戦略の立案、定例MTG、ブログ代行など | Web事業部をアウトソーシングするイメージ。 |
重要:
「月額2万円」なのに「サーバー管理だけ(修正は別料金)」なら、それは割高です。
逆に、「月額5,000円」で「修正し放題」なら、その会社はブラック企業か、いつか破綻するリスクがあります。
4. 契約前に必ず聞くべき「魔法の質問リスト」
見積書に「月額保守費 一式」としか書かれていない場合は要注意です。
契約のハンコを押す前に、担当者に以下の質問をぶつけて、回答を取ってください。
Q1. 「この月額費用の中で、毎月どんな作業をしてくれますか?」
- 良い回答: 「WordPressのバージョンアップ、日次のバックアップ確認、サーバーの死活監視を行います。」
- 悪い回答: 「えっと…サイトの維持管理全般ですね(具体的でない)」
Q2. 「修正などの作業は、月に何回まで無料ですか?」
「修正し放題」なのか「月1回まで」なのか、あるいは「テキスト修正は無料だが、画像作成は有料」なのか。
ここの線引き(サービス範囲)を明確にしておかないと、後で必ず揉めます。
Q3. 「解約した場合、サイトのデータやドメインは引き渡してもらえますか?」
これが最も重要です。
悪質なリース契約などの場合、「解約したらサイトは削除します」「ドメインは渡しません」と言われることがあります。
「解約後も自社で使えるようにデータを渡してくれるか(ドメイン移管が可能か)」は、企業の資産を守るための最重要チェック項目です。
5. 月額費用を「コスト」から「投資」に変える方法
ここまで読んで、「やっぱり月額費用は払いたくないな…」と思った方もいるかもしれません。
しかし、考え方を少し変えてみてください。
もし、月額3万円払うことで、
- 毎月アクセス解析レポートが届き、
- 「今月はここを直せばもっと問い合わせが増えますよ」という提案をもらえて、
- 実際に修正作業までやってくれるとしたら。
そしてその結果、毎月1件でも新規受注(利益30万円)が増えれば、その3万円は「コスト」でしょうか?
いいえ、10倍のリターンを生む「投資」です。
逆に、月額5,000円だとしても、何もしてくれず、提案もないなら、それはただの「死に金(コスト)」です。
月額費用が高いか安いかは、金額の多寡ではなく、
「その費用を払うことで、御社のビジネスが前に進むか(安心が買えるか、売上が上がるか)」
で判断してください。
6. まとめ:安心と時間は「金」で買うのが経営者の知恵
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ホームページの月額費用について、霧が晴れてきましたでしょうか?
結論をまとめます。
- 「サーバー・保守(インフラ・守り)」の費用は、保険だと思って割り切って払うべき(月額5,000円〜1万円程度)。
- 「運用・修正(攻め)」の費用は、自社でやるか、プロに任せて時間を買うかの経営判断。
- 「何をしてくれるのか」が不明確なまま契約してはいけない。
社長であるあなたの時給はいくらでしょうか?
慣れないサーバーの設定や、ドメインの更新手続き、画像の加工などに、貴重な数時間を費やすのは、会社にとってプラスでしょうか?
もし、「そんな時間があるなら営業に行きたい」「本業に集中したい」と思うなら。
信頼できる制作会社に月額費用を払い、面倒なWeb管理をすべて丸投げするのは、非常に賢い「時間の買い方」です。
ぜひ、お手元の見積書を見直し、制作会社に質問を投げてみてください。
その対話の中で、「ここなら任せられる」と思えるパートナーを見つけることが、御社のWeb戦略を成功させる第一歩となるはずです。
【編集後記】
余談ですが、私が過去に関わったクライアント様で、月額費用をケチって自社管理に切り替えた翌月、WordPressの更新に失敗してサイトが真っ白になり、復旧に1週間(と高額な緊急対応費)がかかった事例があります…。
「餅は餅屋」という言葉は、Web業界のためにあるのかもしれません。安心を買うことは、立派な経営戦略ですよ!

