補助金申請、面接(ヒアリング)がある場合はどう準備する?採択を勝ち取る「想定問答」と、審査員を味方につけるプレゼン術【完全対策】

目次

はじめに:書類審査通過、おめでとうございます!でも、油断は禁物です

「書類審査を通過しました。つきましては、〇月〇日に面接審査を行います」

この通知を受け取った時、あなたの心境はいかがでしょうか?

「やった!チャンスだ!」と喜ぶ反面、「何を聞かれるんだろう?」「圧迫面接だったらどうしよう…」と、胃が痛くなるような不安を感じている経営者様(あなた)も多いはずです。

まず、大前提としてお伝えしたいことがあります。

補助金申請において、面接(ヒアリング)まで進めたということは、あなたの事業計画書はすでに「合格ライン」に乗っているということです。

審査員は「この計画は面白そうだ」「この会社ならやってくれそうだ」と期待を持っています。面接は、その期待を「確信」に変えるための最終確認の場なのです。

しかし、ここで油断してはいけません。

実は、「書類は完璧だったのに、面接で社長が答えられずに不採択になる」というケースが、意外なほど多いのです。

特に、事業再構築補助金の一部枠や、東京都の創業助成金、各自治体の独自補助金などでは、面接審査が「最終関門」として設定されています。

ここで求められるのは、流暢なトークスキルではありません。

「この事業を絶対に成功させる」という経営者の熱意と、計画に対する深い理解度です。

この記事では、数多くの経営者様を面接合格へ導いてきたプロの視点から、面接審査の準備方法、絶対聞かれる質問リスト、そして当日の振る舞いまで、専門用語を使わずに徹底解説します。

これを読めば、恐怖だった面接が「自分の夢を語れる最高のステージ」に変わるはずです。


1. そもそも、なぜ「面接」が行われるのか?審査員の心理を知る

敵(審査)を知るには、まず相手の心理を知ることから始めましょう。

膨大な書類を読み込んだ上で、わざわざ時間を割いて面接を行うのには、明確な3つの理由があります。

理由①:「本当に社長本人が考えた計画か?」を見抜くため

これが最大の理由です。

残念ながら、補助金業界には「丸投げ」が横行しています。コンサルタントが勝手に書いた計画書で申請し、社長本人は中身を全く理解していない……。

国や自治体は、これを最も嫌います。

面接では、少し突っ込んだ質問をすることで、「これはコンサルが書いた文章を読んでいるだけだな」とか「あ、この社長は自分の言葉で語っているな」というのが一発でバレます。

審査員は、「自分の頭で考え、リスクを背負って事業を行う覚悟があるか」を確認したいのです。

理由②:「実現可能性」を確かめるため

書類上では「売上が2倍になります!」と書いてあっても、具体的にどうやって売るのか、現場のオペレーションはどうなるのか、細かい部分は書ききれないことがあります。

審査員は意地悪な質問をしたいわけではありません。

「本当にその人数で回せるの?」「競合が出てきたらどうするの?」といった、ビジネス上の懸念点をクリアにし、「これなら税金を投入しても無駄にならない」と安心したいのです。

理由③:経営者の「人柄」と「熱意」を見るため

補助金は投資です。最終的にビジネスを動かすのは「人」です。

「この社長なら、困難にぶつかっても逃げずにやり遂げるだろう」

そう思わせることができるかどうかが、ボーダーライン上の合否を分けます。


2. どの補助金に面接がある?傾向と対策

すべての補助金に面接があるわけではありません。

「自分が申請する補助金はどうなのか?」を把握しておきましょう。

ケースA:面接が「ほぼ必須」の補助金

  • 東京都(および各自治体)の創業助成金:
    • 自治体系は、地域経済への貢献度を重視するため、面接を行うケースが多いです。特に東京都中小企業振興公社の助成金は面接が鬼門と言われています。
  • ビジネスコンテスト型の補助金:
    • ベンチャー企業向けのピッチイベント形式のものは、プレゼン能力が問われます。

ケースB:枠によって「ある場合がある」補助金

  • 事業再構築補助金:
    • 通常枠ではありませんが、「グリーン成長枠」などの大型・特殊な枠では、オンラインでのプレゼン審査が課される場合があります。
  • ものづくり補助金:
    • 原則として書面審査のみですが、過去には面接があった時期もありました(※最新の公募要領を必ず確認してください)。

ケースC:原則「面接なし」の補助金

  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金
    • これらは申請数が膨大なため、物理的に面接が不可能です。書類のみで勝負が決まります。

【重要】

面接の有無は、公募要領に必ず記載されています。「審査方法」の欄を今すぐチェックしてください。


3. これだけは準備せよ!「5つの必須アイテム」

面接日が決まったら、以下の5つを机の上に揃えてください。

これがないと、戦場に武器を持たずに飛び込むようなものです。

アイテム①:提出した「事業計画書」のコピー(書き込み用)

自分が提出した書類の内容を、一字一句頭に入れていますか?

審査員は手元の書類を見ながら質問してきます。「〇ページのこの数字ですが…」と言われた時に、すぐに同じページを開けるようにしておきましょう。

重要な部分にはマーカーを引き、想定される質問の答えをメモしておきます。

アイテム②:「想定問答集(カンペ)」

聞かれそうな質問と、その回答をまとめたメモです。

面接中、チラッと見るくらいなら許されます(※オンラインなら画面の横に貼っておくのも手です)。

ただし、「読み上げる」のはNGです。あくまで「お守り」として用意します。

アイテム③:補足資料(写真・パンフレット・実物)

「百聞は一見に如かず」です。

例えば、「新しいパンを開発します」という計画なら、その試作品や写真を見せる。

「工場のここが狭くて危険なんです」という計画なら、現場の写真を見せる。

口で説明するよりも、実物を見せた方が100倍伝わります。 多くの審査会場では、資料の持ち込みが許可されています(※事前に事務局へ確認推奨)。

アイテム④:電卓とメモ帳

「もし売上が計画の8割だったら、利益はどうなりますか?」といった計算を求められることがあります。

慌てず計算できるよう、大きめの電卓を用意しましょう。

アイテム⑤:清潔感のある服装(スーツ推奨)

「中身勝負だから作業着でいいだろう」というのは、避けた方が無難です。

補助金審査は「公的な場」であり、審査員は士業や有識者です。

「この事業に本気です」という姿勢を示すためにも、スーツまたはオフィスカジュアルで臨みましょう。


4. 審査員はこれを聞く!「鉄板の質問リスト」と回答のコツ

ここでは、実際の面接で頻出する質問と、高得点を取るための回答の方向性を伝授します。

この回答を、御社の事業に合わせて作り込んでください。

Q1. 「今回の事業計画を、3分程度で説明してください」

【解説】

冒頭で必ず聞かれる、自己紹介代わりの質問です。

ここでダラダラと10分も喋ってはいけません。

【回答のコツ】

「誰に」「何を」「どうやって」提供し、「どうなる(効果)」のか。

この4点を簡潔にまとめます。

「弊社は〇〇地域で金属加工を行っています。今回の補助事業では、最新の〇〇機を導入し、これまで外注していた工程を内製化します。これにより、納期を3日短縮し、利益率を10%向上させる計画です。」

Q2. 「なぜ、今やる必要があるのですか?」

【解説】

「来年でもいいんじゃない?」という意地悪な質問です。緊急性と市場のタイミングを問われています。

【回答のコツ】

市場の変化や顧客の声(ニーズ)を根拠にします。

「主要取引先から短納期化の要請が急増しており、今対応できないと他社にシェアを奪われる危機的状況だからです。」

Q3. 「競合他社との違い(強み)は何ですか?」

【解説】

差別化ポイントです。「安さ」だけで勝負するのは評価が低いです。

【回答のコツ】

技術、ノウハウ、顧客基盤など、他社がマネできない部分を強調します。

「単なる加工だけでなく、設計段階から提案できる技術力があるのは、このエリアでは当社だけです。」

Q4. 「計画通り売れなかった場合、どうしますか?」

【解説】

リスク管理能力を見ています。「絶対に売れます!」という根拠のない自信は危険です。

【回答のコツ】

プランB(代替案)を持っていることを示します。

「当初は既存客への販売を見込んでいますが、もし未達の場合は、Web広告の予算を増やし、新規エリアへの営業を強化します。それでも厳しい場合は、経費を削減し、黒字化を維持します。」

Q5. 「資金調達のメドは立っていますか?」

【解説】

補助金は後払いです。先にお金を払えるのか(資金ショートしないか)を確認されます。

【回答のコツ】

金融機関との調整済みであることを伝えます。

「すでにメインバンクの〇〇銀行に相談しており、融資の確約(内諾)をいただいています。」


5. 【オンライン面接編】Zoom・Teamsで失敗しないテクニック

最近増えているWeb会議システムを使った面接。対面とは違う注意点があります。

① 目線は「画面」ではなく「カメラ」

画面に映る審査員の顔を見ていると、相手からは「下を向いている」ように見えてしまいます。

話す時だけは、カメラのレンズを直視してください。これだけで「目が合っている」感覚になり、熱意が伝わります。

② リアクションは「3割増し」で

オンラインでは、うなずきや表情が伝わりにくいです。

大きくうなずく、ハッキリと発音する、身振り手振りを交えるなど、少しオーバーリアクション気味でちょうど良いです。

③ 通信環境と背景の確認

「通信が途切れて聞こえませんでした」は最大のストレスです。有線LANを使うなど、ネット環境を安定させましょう。

また、背景に散らかった部屋や洗濯物が映り込まないよう、バーチャル背景を使うか、きれいな壁を背にしてください。

④ 「カンペ」の置き場所

オンラインのメリットは、カンペが見放題であることです。

パソコンの画面上(カメラの近く)に、キーワードを書いた付箋を貼っておきましょう。

ただし、「読む」のではなく「キーワードをチラ見して、自分の言葉で話す」のが鉄則です。目が泳いでいるとバレます。


6. 絶対にやってはいけない「NG行動」3選

面接でこれをやったら不採択一直線、というタブーがあります。

NG①:コンサルタントに答えさせる(同席の場合)

面接にコンサルタントの同席が認められる場合がありますが、質問された時に、社長がコンサルタントの方をチラチラ見て助けを求めるのは最悪です。

「あ、この社長は何も分かっていないな」と判断されます。

コンサルタントはあくまで「補足説明」のみ。主役は社長自身です。

NG②:「分かりません」で終わらせる

想定外の質問が来た時、「分かりません」「考えていません」と即答するのは避けましょう。

「現時点では詳細を詰めておりませんが、〇〇という方向で検討します」

「持ち帰って再検討し、実行時には解決策を用意します」

といった、前向きな姿勢を見せることが重要です。

NG③:審査員と論争する

圧迫面接気味に「この計画、甘いんじゃない?」と言われることもあります。

そこでムッとして「いや、あなたは現場を知らない!」と喧嘩腰になってはいけません。

「ご指摘ありがとうございます。確かにおっしゃる通り、そのリスクはあります。ですので、〇〇という対策を講じます」

と、謙虚に受け止めつつ切り返す大人の対応が求められます。


7. まとめ:面接は「あなたのファン」を作る場所

今回は、補助金の面接対策について、準備から当日のテクニックまで解説しました。

要点を振り返りましょう。

  1. 面接の目的は「本人の熱意」と「理解度」の確認。
  2. 事業計画書を熟読し、自分の言葉で語れるようにする。
  3. **「なぜ今?」「他社との違いは?」「資金は?」**は鉄板質問。
  4. オンライン面接は「カメラ目線」と「リアクション」が命。
  5. コンサルに頼らず、社長自身が主役として話す。

最後に、一番大切なことをお伝えします。

審査員は、あなたを落とそうとしているのではありません。

「この魅力的な事業を、採択させてあげるための理由」を探しているのです。

面接官も人間です。

たどたどしくても、言葉に詰まっても構いません。

「この事業で会社を変えたいんだ!」「地域に貢献したいんだ!」というあなたの本気の想いが伝われば、きっと彼らは味方になってくれます。

準備不足で後悔することのないよう、この記事を参考に、万全の状態で本番に臨んでください。

あなたのプレゼンテーションが成功し、補助金という翼を手に入れられることを、心より応援しています。


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