~「高いお金を払ってゴミを作った」と言わないために。プロが見た“残念なサイト”の共通点~
「ホームページを作りたいが、失敗したくない」
「周りの経営者仲間から『何百万円もかけたのに全然役に立っていない』という愚痴を聞いた」
「制作会社の選び方も、相場も、何を準備すればいいのかも分からない」
これからホームページ制作を検討されている経営者の皆様。今、このような不安を抱えていませんか?
その不安は、非常に正しいものです。
なぜなら、Web制作の現場に長年身を置く私から見て、世の中の中小企業サイトの「約9割」は、投資対効果が見合っていない「失敗プロジェクト」になりがちだからです。
「9割も失敗するなんて、脅しすぎだろう」と思われるかもしれません。
しかし、ここで言う「失敗」とは、サイトが完成しないことではありません。
「完成はしたけれど、誰も見に来ない」「問い合わせが来ない」「売上に1円も貢献しない」
これらを失敗と定義するなら、9割という数字は決して大袈裟ではないのです。
なぜ、多くの企業が失敗するのでしょうか?
それは、Web制作における「地雷(やってはいけないこと)」を知らないまま、なんとなくプロジェクトを進めてしまうからです。
この記事では、Web集客のプロフェッショナルである私が、数多くの失敗事例から導き出した「ホームページ制作でよくある失敗例7選」を包み隠さず公開します。
これは、他社の失敗から学ぶための「転ばぬ先の杖」です。
専門用語は使いません。経営者であるあなたが、制作会社と対等に渡り合い、ビジネスを加速させる「稼ぐサイト」を手に入れるために。ぜひ最後まで目を通してください。
1. そもそも、なぜ多くのプロジェクトが失敗するのか?
具体的な7つの失敗例に入る前に、大前提となる「失敗の根本原因」をお伝えします。
それは、Webサイトを「魔法の杖」だと勘違いしていることです。
「ホームページを作れば、勝手にお客さんが集まってくる」
「デザインを綺麗にすれば、商品は売れるはずだ」
残念ながら、Webの世界はそこまで甘くありません。
ホームページは、リアルな世界で言えば「営業マン」や「店舗」そのものです。
教育されていない営業マン(中身のないサイト)が売れないのと同じく、人通りのない路地裏に建てた豪華な店舗(集客導線がないサイト)にお客さんが来ないのは当然です。
失敗する企業のほとんどは、「作る」ことがゴールになってしまい、「どうやって活用するか」という視点が抜け落ちているのです。
2. 【失敗例①】デザイン重視の「自己満足」サイト
これが最も多い失敗パターンです。特に予算がある企業ほど陥りやすい罠です。
「社長の好み」で作ると誰も読まない
「もっとスタイリッシュに」「最先端のアニメーションを入れて動かしたい」「英語のキャッチコピーでかっこよく」
経営者様の熱い想いは分かります。しかし、そのデザインは「お客様(ユーザー)のため」になっているでしょうか?
お客様は、御社のデザインを鑑賞しに来たわけではありません。
「自分の悩みを解決してくれるか?」「信頼できる会社か?」を知りに来たのです。
過度なアニメーションで表示が遅かったり、英語ばかりでメニューが分かりにくかったりするサイトは、お客様にとって「使いにくいだけの障害物」です。
「おしゃれなサイト」と「売れるサイト」は別物です。
ビジネスで優先すべきは、圧倒的に後者であることを忘れてはいけません。
3. 【失敗例②】「会社案内」止まりのコンテンツ不足
「とりあえず、会社概要と社長挨拶があればいいだろう」
この考えで作られたサイトは、ただの「デジタルパンフレット」です。
お客様は「自分のこと」にしか興味がない
厳しい言い方ですが、初めて御社を知ったお客様は、御社の歴史や社長の趣味には興味がありません。
彼らが知りたいのは、「この会社にお願いしたら、私にどんないいことがあるの?(ベネフィット)」だけです。
- 失敗サイト: 「弊社は昭和〇〇年創業で、最新の設備を導入しており…」(主語が自社)
- 成功サイト: 「50年の実績があるから、あなたの難しい要望も即日解決します」(主語が顧客)
この視点の切り替えができていないサイトは、どれだけアクセスを集めても、問い合わせボタンが押されることはありません。
4. 【失敗例③】スマホ対応(ユーザー体験)の軽視
「うちはBtoB(法人取引)だから、パソコンで見られることが前提だ」
この認識は、今の時代では「致命傷」になります。
決裁者も現場も「スマホ」で見ている
今や、どんな業種であっても、最初の接点はスマートフォンです。
移動中の電車で、商談前のエレベーターホールで、忙しい経営者や担当者はスマホで検索します。
その時、画面の文字が米粒のように小さく、いちいち指で拡大しないと読めないサイトだったら?
「あ、この会社は古いな」「配慮が足りないな」と判断され、秒速で「戻る」ボタンを押されます。
Googleも「スマホ対応していないサイト」の検索順位を下げる評価基準を持っています。スマホ軽視は、集客の入り口を自ら塞ぐ行為です。
5. 【失敗例④】「作れば人が来る」という集客プランの欠如
「立派なサイトを作ったのに、アクセスが1日5件しかない…」
これは、「無人島に豪華なホテルを建てた」状態です。
船(広告)も地図(SEO)もない
Webサイトは、公開した瞬間がスタートです。
しかし、多くの失敗プロジェクトでは、「制作費」に予算を使い果たし、「集客費(広告や運用)」の予算がゼロになっています。
- SEO(検索対策): 検索順位を上げるためのブログ更新などは計画されているか?
- Web広告: 初期の認知を広げるための広告予算はあるか?
- MEO(マップ対策): Googleマップに登録しているか?
これら「人を呼ぶための道づくり」がなければ、サイトは誰の目にも触れず、デジタルの藻屑となります。
6. 【失敗例⑤】安さだけで選んだ「パートナー選び」のミス
「A社は100万円だけど、B社は30万円だった。同じホームページなら安いB社にしよう」
これが「安物買いの銭失い」の典型例です。
金額の差は「脳みその差」
Web制作費のほとんどは「人件費」です。
安いということは、「考える時間を省いている」ということです。
- 戦略を練らない。
- テンプレートに流し込むだけ。
- 写真や原稿はすべて「御社が用意してください」。
こうした「作業代行」だけの会社に頼むと、中身スカスカのサイトが出来上がります。
逆に高い会社は、マーケターやライターが入り、「どうすれば売れるか」を必死に考えてくれます。
「作業」にお金を払うのか、「成果」にお金を払うのか。 この視点がないと、パートナー選びで失敗します。
7. 【失敗例⑥】更新できない「ゾンビサイト」化
「新着情報の最新日付が2年前…」
「消費税がまだ8%の表記になっている…」
このようなサイトを見た時、あなたならその会社に注文したいと思いますか?
自分たちで直せないシステム
失敗するパターンの多くは、更新するたびに制作会社に依頼し、費用が発生する仕組みになっています。
「文字を直すだけで5,000円かかるのか…じゃあ今回はいいや」
こうして更新が後回しになり、情報は古くなり、企業の信頼を損なう「ゾンビサイト」が出来上がります。
リニューアル時は必ず、「自社で簡単に更新できる仕組み(WordPressなどのCMS導入)」を条件に入れるべきです。
8. 【失敗例⑦】船頭多くして船山に登る(社内体制の不備)
最後は、意外と多い社内の問題です。
「社長」「専務」「現場担当者」…みんながバラバラな意見を言い出し、収拾がつかなくなるパターンです。
妥協の産物は誰にも刺さらない
- 社長:「革新的なデザインで!」
- 専務:「いや、伝統を重んじて重厚に」
- 担当者:「若い人に受けるようにポップに」
これら全ての意見を取り入れた結果、「コンセプトが謎のキメラサイト」が誕生します。
Webサイト制作においては、「誰に向けて作るのか(ターゲット)」を一人に絞り、決定権を持つ責任者を明確にしておくことが成功の鉄則です。
「全員にいい顔をしたサイト」は、結局「誰の心にも残らないサイト」になります。
9. 失敗しないための「RFP(提案依頼書)」のススメ
ここまで7つの失敗例を見てきました。
「じゃあ、どうすればいいの?」という解決策をお伝えします。
それは、制作会社に依頼する前に、「RFP(提案依頼書)」を作ることです。
難しく考える必要はありません。A4用紙1枚に、以下のことをまとめてから相談に行ってください。
- 目的: なぜサイトを作るのか?(名刺代わり? 集客? 採用?)
- ターゲット: 誰に見せたいのか?
- 強み(USP): 競合他社に負けない自社の売りは何か?
- 予算と納期: 現実的なラインはどこか?
- 運用体制: 公開後、誰が更新するのか?
これがあるだけで、制作会社は「このお客様は本気だ」と理解し、的確な提案をしてくれるようになります。失敗の確率は劇的に下がります。
10. まとめ:Webサイトは「生き物」である
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ホームページ制作の失敗例、いくつ心当たりがありましたか?
もし「ギクッ」としたとしても、大丈夫です。気づいた今から軌道修正すればいいのです。
ホームページは、建物のように一度建てたら終わりの不動産ではありません。
植物やペットのように、毎日世話をし、栄養(情報)を与え、育てていく「生き物」です。
- お客様を見て(デザインより使いやすさ)
- 言葉を尽くして(コンテンツ)
- 毎日育てる(更新・運用)
この当たり前のことを、当たり前にできる環境を整えること。
それこそが、9割の失敗組から抜け出し、残り1割の「Webで成功する企業」に入るための唯一の道です。
「失敗しないための知識」は、今あなたの手の中にあります。
ぜひ、御社の素晴らしいビジネスを正しく伝える、最高のWebサイトを作り上げてください。心より応援しております。
【編集後記】
余談ですが、私が過去に担当した中で一番成功したサイトは、実はデザインがとてもシンプル(地味)でした。
しかし、そこには社長の「お客様への熱いメッセージ」と「嘘のない施工事例」が毎日更新されていました。
結局、最後にお客様の心を動かすのは、テクニックではなく「熱量」と「誠実さ」ですよね。

