Webサイトの「健康診断」。リニューアル前に必ずチェックすべき項目

目次

~「なんとなく」で作り直すのは危険。御社のWeb資産を守るための精密検査ガイド~

「今のホームページ、なんだか古くなってきた気がする」

「周りの経営者仲間がリニューアルしているから、うちもそろそろ…」

「デザインを変えれば、きっと売上も上がるはずだ」

もし今、あなたがこのような「感覚」だけでリニューアルを進めようとしているなら、そのプロジェクトは危険信号です。

少しイメージしてみてください。

あなたが体の不調を感じて病院に行ったとします。医師が検査もせず、聴診器も当てず、いきなり「じゃあ、とりあえず手術しましょう!開けてみれば分かりますから」と言ってきたらどう思いますか?

恐ろしくて逃げ出しますよね。

Webサイトのリニューアルも、これと同じです。

今のサイトの「どこが悪いのか」「どこが良いのか(残すべき資産か)」を把握しないまま、見た目だけを変えるのは、検査なしの手術と同じくらいリスクが高い行為です。

最悪の場合、「今まで検索で上位にいたのに圏外に飛んだ」「問い合わせが半分以下になった」という、笑えない事態を招くことさえあります。

この記事では、Web集客のプロフェッショナルである私が、リニューアルを失敗させないための「Webサイト健康診断チェックリスト」を公開します。

難しい専門知識は不要です。

経営者であるあなた自身の目で、あるいは担当者と一緒に、一つずつチェックを入れてみてください。

この診断が終わる頃には、御社が「今、何をすべきか」が明確に見えているはずです。


1. なぜ「健康診断(現状分析)」が必要なのか?

リニューアルの目的は「サイトを新しくすること」ではありません。

「現状の課題を解決し、ビジネスの成果(売上・採用)を最大化すること」です。

悪いのは「見た目」か「中身」か?

例えば、「問い合わせが少ない」という悩みがあったとします。

  • 原因A: デザインが古くて信頼されていない(見た目の病気)
  • 原因B: そもそもアクセスが来ていない(集客の病気)
  • 原因C: 申し込みフォームが使いにくい(機能の病気)

原因がBなのに、デザインだけを一新しても問い合わせは増えません。原因がCなのに、広告費をかけてアクセスを集めてもザルに水を注ぐだけです。

正しい治療(リニューアル)を行うためには、正しい診断(現状分析)が不可欠なのです。


2. 【診断①:視覚・体験】第一印象はお客様を歓迎できているか?

まずは、人間で言う「顔色」や「表情」のチェックです。お客様がサイトを訪れた瞬間の印象を診断します。

□ スマホでの「親指操作」は快適か?

ご自身のスマホで自社サイトを開いてください。

  • 文字は拡大せずに読めますか?
  • メニューボタンは押しやすい位置にありますか?
  • 電話番号をタップするだけで発信できますか?今の時代、BtoBであってもアクセス元はスマホが主流です。「スマホ対応(レスポンシブ)」が不完全なサイトは、それだけで「診断:重症」です。

□ 「3秒ルール」をクリアしているか?

サイトを開いて「3秒以内」に、以下の2点が伝わりますか?

  1. 「何屋さんなのか?」
  2. 「自分(客)にとって何の得があるのか?」

トップページのメイン画像に、英語のおしゃれなキャッチコピーだけが踊っていませんか?

「Innovation for Future」のような抽象的な言葉より、「新宿区の税務調査ならお任せください」という具体的な言葉が必要です。何屋か分からないサイトは、3秒で閉じられます(直帰されます)。

□ デザインは「今の時代」に合っているか?

  • 画像の画質が荒くないか。
  • 色使いが原色ばかりで目がチカチカしないか。
  • ボタンに無駄な立体感がついていないか(今はフラットデザインが主流)。

デザインの「古さ」は、そのまま「企業の古さ(停滞感)」として受け取られます。信頼感を損なっていないか、客観的に見直しましょう。


3. 【診断②:機能・技術】見えない「内臓」は健康か?

次は、サイトの裏側、技術的な部分の診断です。ここはGoogleからの評価(SEO)に直結します。

□ URLの横に「鍵マーク🔒」はあるか?

ブラウザのアドレスバーを見てください。「保護されていない通信」と出ていませんか?

これはSSL化(暗号化)がされていない状態です。

セキュリティ意識が低い会社と見なされるだけでなく、Googleの検索順位も下がります。今すぐ治療が必要です。

□ 表示速度に「イライラ」しないか?

クリックしてからページが表示されるまで、3秒以上かかっていませんか?

Amazonの調査では「0.1秒遅れるだけで売上が1%下がる」と言われています。

高画質の写真をそのまま載せていたり、古いサーバーを使っていたりすると、サイトはメタボリック(肥満)状態になります。軽量化が必要です。

□ 「リンク切れ」という行き止まりはないか?

「詳しくはこちら」をクリックしたら「404 Not Found(ページが見つかりません)」と出る。

これはWebサイトにおける「整備不良」です。お客様を失望させ、Googleからの評価もガタ落ちします。


4. 【診断③:コンテンツ】「言葉」はお客様に刺さっているか?

ここが一番重要です。サイトに掲載されている「文章(コンテンツ)」の診断です。

□ 主語が「自社」ばかりになっていないか?

  • ×「弊社は最新の設備を導入しており…」
  • ×「創業50年の歴史があり…」

これらは「自慢話」です。お客様は御社の歴史に興味はありません。「自分をどうして幸せにしてくれるか」にしか興味がありません。

  • ○「最新設備導入により、痛みの少ない治療が可能です」
  • ○「50年の経験から、あらゆるトラブルを即日解決します」

主語を「お客様(あなた)」に変えるだけで、メッセージの刺さり方が変わります。

□ 「強み(USP)」が明確か?

競合他社のサイトと見比べた時、

「結局、どこに頼んでも同じだな」

と思われてしまう内容ではありませんか?

「地域で唯一、夜間対応している」「業界で唯一、返金保証がある」など、選ばれる理由が明記されているかチェックしてください。

□ 更新頻度は「生きて」いるか?

「新着情報」の最新の日付が、1年前になっていませんか?

ブログが数年前で止まっていませんか?

更新が止まっているサイトは「デジタル廃墟」です。「この会社、もう営業していないかも?」という不安を与えてしまいます。


5. 【診断④:集客経路】どうやって人が来ているか知っているか?

最後に、データの診断です。Googleアナリティクスなどの解析ツールを入れている場合、最低限ここだけは見てください。

□ 「どこから」来ているか?

  • 自然検索(SEO): 検索エンジンから来ているなら、どのキーワードで?
  • 参照(Referral): 他のサイトからのリンクはあるか?
  • SNS: TwitterやInstagramからの流入はあるか?
  • 直接(Direct): 名刺やチラシを見てURLを打ち込んだか?

もし「社名検索」でしか人が来ていないなら、新規顧客へのアプローチができていません。リニューアルでは「悩み系キーワード(例:腰痛 治し方)」での流入を狙う戦略が必要です。

□ 「どこで」帰っているか?(離脱ページ)

トップページだけ見て帰っているのか、料金ページを見て帰っているのか。

もし「料金ページ」での離脱が多いなら、価格が高いのではなく「価格に見合う価値が伝わっていない」のかもしれません。

離脱が多いページこそ、リニューアルでの「改善の伸び代」です。


6. まとめ:診断結果を「処方箋(RFP)」に変える

ここまでチェックして、「ドキッ」とする項目はいくつありましたか?

もし多くの項目にチェックが入ったとしても、落ち込む必要はありません。

「不調の原因が分かった」ということは、もう半分解決したようなものだからです。

リニューアルを成功させる最大のコツ。

それは、制作会社に相談する際に、ただ「新しくしたい」と言うのではなく、この診断結果を伝えることです。

「スマホで見にくいのが一番の課題です」

「新着情報の更新が止まっているので、自分で更新できる仕組みを入れたいです」

「SSL化がまだなので、セキュリティを強化したいです」

このように具体的な要望(処方箋)を渡せば、制作会社も「デザイン」だけでなく「解決策」を提案しやすくなります。これを専門用語で「RFP(提案依頼書)」と言いますが、この診断メモは立派なRFPの代わりになります。

Webサイトは、御社のビジネスを24時間支える「心臓部」です。

定期的な健康診断と、適切な治療(リニューアル)で、いつまでも健康で力強い集客エンジンとして稼働させましょう。

まずは、今のサイトのURLを制作会社に送り、「プロの目でも診断してほしい」と無料相談を申し込むところから始めてみてはいかがでしょうか?

その小さな一歩が、御社の未来を大きく変えることになるはずです。


【編集後記】

実は、私が過去に担当したクライアント様で、診断の結果「リニューアルしない」という決断をしたケースがあります。

サイト自体は健康で、課題は「広告の出し方」にあったからです。

このように、正しく診断すれば無駄な出費を防ぐこともできます。

「とりあえずリニューアル」の前に「まずは診断」。これが賢い経営者の選択です!

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